情シスのかたち

powered by gin

契約書管理システムは必要?機能や特徴、おすすめのツールを紹介!

契約書管理システムとは?

仕入先や顧客先と結んだ契約書の一元管理に加え、契約書の作成、取引先との契約締結状況の確認、契約期限の把握を行えるシステムです。取引先の増加や社内で契約書が適切に保管されていないことによって負担が増加する、契約書作成・管理業務を効率化します。現在、コロナウイルスの影響やテレワーク導入によるペーパーレス化の促進に伴い、クラウド上で契約書の作成から締結までスピーディーに行えるサービスが増えてきました。

契約書管理業務で抱える3つの課題とは?

契約書の情報共有や所在の把握がスムーズに行われないこと、契約の期限管理の難しさが課題として挙がっています。

契約書のスムーズな情報共有や管理が難しい

顧客との売買契約を行う場合、契約書作成業務には部署の垣根を超えて複数の社員が協力して業務を行わないといけません。企業担当者と直接商談を行う営業マン、契約書の作成や内容の確認、承認などを行う総務部や経理部に所属する社員が業務に関連します。

ですが、顧客先において部署間で異なる売買契約を交わしている場合があります。顧客先の組織改編や営業マンによる新規開拓など様々な理由が考えられますが、契約書の増加や管理を複雑にする要因となります。

また、契約書の保管場所を一定の場所に決めていない場合、閲覧したい企業の契約書が見つからないといった事態や総務部に頼まないと閲覧できないなどの事態を招きます。業務停滞の要因につながるだけでなく、最悪の場合は原本の紛失や破棄が行われており、契約書の内容を確認できない場合も考えられます。上記の事態を避けるためにも契約書管理システムを導入して、スムーズな情報共有ができる仕組みが必要です。

契約書の期限管理問題

自身が担当する顧客先との契約期限が過ぎていた場合や、契約書の量が多すぎて内容の精査に時間がかかるといった課題があります。毎日一定の時間内で大量の仕事をこなさないといけない現状、顧客先との契約期限まで把握しておくことは困難です。

例えば、営業マンであれば案件の掘り起こしや商談の詰め、商品やサービスの提案など、売上を上げるための行動が最優先に求められます。一方、総務部や事務職などに関わる社員も従業員データの管理や日々の受発注業務、見積書の作成など、多くの仕事をこなさなければなりません。忙しい日々の中で個々の顧客先の契約期限に応じて顧客や同僚とコミュニケーションを取り合い、契約書の内容確認や作成業務を行うのは大変です。

また、顧客先と古くからの付き合いがある場合、契約書を結んだ当時とは取引量や取引形態が変化していることも往々にしてあります。契約書の中身に不自然な点や疑問があった場合でも、当時の担当者が不在の場合は聞くことができません。すぐに契約状況がわかるようにするためにも、契約書管理ツールは必要です。

アクセス制限

顧客先を担当する営業マン、受発注管理や納期調整を行う事務職、契約書の作成・管理・承認を行う総務部の社員と特定の顧客先に関する契約書の情報共有を行う一方、業務に関係ない社員は契約書の閲覧を禁止しないといけません。つまり、利便性を失わずにアクセス制限の範囲を決める必要があります。

契約書業務をスピーディーに完結させるためには、業務に関わる全ての社員が業務に関連する資料やツールを使える状態にすることが必要です。情報共有がスムーズに行われない場合、顧客との契約書の締結が終わらないだけでなく、契約書を結ばずに取引がスタートしてしまうことも考えられます。

契約書が無かったとしても、担当者同士が丁寧にコミュニケーションを取り、上司の了承を得た上で案件の内容に合意していれば、一般的な商品やサービスの売買業務は成立可能です。ただし、今後も継続的に取引を行いたい場合は、契約書の締結は今後のビジネスを円滑に進める上でも必要です。トラブルがあった際の取り決めや会社としての行動を明確にしておく意味でも、タイミングを見計らって契約書の締結を行いましょう。

一方、業務に関係ない社員に契約書が閲覧できる状態にすると、情報漏洩の原因になります。契約書の無断持ち出しによる紛失や盗難、ダークウェブへの情報転売など様々なリスクにつながります。

特に現在はテレワークの導入で、自宅やサテライトオフィスなどオフィス以外で働く機会も増加しています。職場よりも自由度の高い環境で、給料や肩書、人間関係のトラブルから職場への不満が募り、多額の金銭的報酬や個人の復讐のために情報漏洩をしても、おかしくない状態です。情報漏洩の原因を作らないためにも、特定の顧客先における契約業務に関わらない社員のアクセスを制限する仕組みが求められます。

契約書管理システムの4つの機能とは?

契約書管理システムにおける4つの機能を紹介します。

契約更新期限の管理

個々の取引先と結んでいる契約の更新時期が近くなると、メールやアラートで通知します。契約の自動更新・延長・契約終了などを自由に設定できるだけでなく、アラートやメールで通知する条件・日時なども自分たちが利用しやすい状態に設定可能です。

例えば、2か月後に契約期限が終了する顧客先を一覧表示し、1週間ごとに個別アラートを設定することも可能です。ユーザー以外にも、上司や契約業務に関わる社員に通知することで、情報共有を徹底します。普段フォローが行き届いていない得意先に関しては、契約更新のタイミングで新サービスや商品の提案を行うと、顧客の近況を把握できるだけでなく、今後の取引や営業戦略を見直すきっかけにもなります。

アクセス権限の管理

社員や部署単位での閲覧制限が可能です。また、業務に関係ある社員と上司には編集や決裁権限を与え、業務に関係ない社員は閲覧できない状態に区別することで、情報の持ち出しや内部不正を防ぎます。

契約書の検索

契約した取引先の企業名・契約開始日・有効期限などを属性情報として入力し、属性情報を基に検索を行います。原本で保存していた状態とは異なり、いつでも必要なときに契約内容を閲覧可能です。

個々の契約書における締結状態の確認

通常の取引で適用する基本の売買契約だけでなく、契約には様々な種類があります。機密情報の漏洩や利用を禁止する機密保持契約、商品やサービスごとの個別契約、契約書の変更や追加事項があった際の覚書など、企業間同士で結ぶ契約には様々な種類が存在します。

個々の契約における締結状態の確認と関連性を確認できます。契約の有効期限が近い契約があった場合は商談前に契約更新の是非を顧客先と擦り合わせることで、互いの業務負担を負担の軽減とスムーズなやりとりが実現可能です。

契約書管理システムを導入する3つのメリット

取引先とのトラブルや情報漏洩のリスク回避、業務効率の向上がメリットとして挙げられます。

取引先とのトラブル対策

取引先とサービスや商品の売買でトラブルになった場合、契約書を交わしていれば相手に損害賠償の要求や契約解除を行うといった、会社の利益を守るための行動をスムーズに取れます。ですが、契約書が締結されていない場合や契約書の中身を確認できない場合は対応が遅れてしまい、必要な行動を迅速に取れません。金銭が絡む問題は初期対応が遅れると長期化する傾向にあるため、契約書を結ぶことで問題の長期化を防ぐことが可能です。

情報漏洩対策

特定の社員にだけ契約書を閲覧できる状態にすることで、内部漏洩や外部からの不正アクセスのリスクを軽減します。企業の情報資産は犯罪者にとって多額の金銭的報酬を望める取引対象です。

契約書が流出した場合は、取引先にも被害が及ぶ可能性も十分あります。契約書の流出がきっかけで取引先の情報資産が盗まれた場合は、今後のビジネスが非常に厳しくなります。社会的信用や経済的利益を失わないためにも、情報漏洩につながる要因は可能な限り排除しましょう。

業務効率の向上

バラバラの場所に契約書が保管されている状態や他部署に行って契約書の閲覧に許可が必要な状態では利便性に欠け、業務効率を下げる要因になります。契約書管理ツールを導入して契約書を電子データ化することで、いつでも必要なときに内容確認が可能です。利便性が上がるだけでなく、原本を探す手間や紛失の恐れも無くなるため、業務効率性や情報共有がスムーズになります。

契約書管理システムにおける3つの選定ポイントとは?

導入形態、ベンダサポートの充実、コストを選定のポイントにしてください。

導入形態

クラウド型かオンプレミスで導入するかを決めます。それぞれのメリット・デメリットを把握して、どちらが自社に合うか判断したうえで導入してください。

クラウド

インターネット経由で契約書管理システムを利用する形です。ベンダーが設定している料金を払えばサービスを使用できるため、初期費用やメンテナンス代は必要とせず、オンプレミスと比べると低コストで利用できます。また、トラブルやアクシデントが起きた場合はベンダーが対応するため、効率的な運用が可能です。

一方、デメリットはカスタマイズ性や拡張性が低いため、操作性への不満や使いづらさを感じる場合があります。

オンプレミス

オンプレミス型は自社で契約書管理システムを導入して、管理と運用をしていく形です。自社にとって使いやすいように自由にカスタマイズできるので、操作性や使いやすさはクラウド型よりも上です。

しかし、初期費用やメンテナンス代は発生し、トラブルが起きた場合も自分たちで対処しないといけません。IT知識や業務に長けた社員がいない場合は復旧作業に時間がかかるため、おすすめできません。

メリットデメリット
クラウド
  • 低コストで利用可能
  • トラブルが起きた際はベンダーが対処
  • 効率的な運用が可能
  • カスタマイズ性が低い
  • 使い勝手の良さはオンプレミスの方が上
オンプレミス
  • カスタマイズ性が高い
  • 自社にとって使いやすい形を実現
  • 初期費用やメンテナンス代が発生
  • トラブルがあった際は自分たちで対処
  • 運用ノウハウが無いとコストに見合った効果は得られない

ベンダサポートの充実さ

導入時から実際に稼働した後も丁寧なサポートを望めるか考える必要があります。マニュアルはわかりやすいか、土日もサポートは望めるか、質問に対して素早い対応を望めるかなど困った時に頼れるベンダーかどうかをチェックしてください。

また、無料トライアルが設定されている場合は、トライアル期間に質問をしてサポートの充実度を確かめるのも1つの選択肢です。販売やサポートが代理店任せのベンダーや本社が海外にある場合は、代理店の対応次第で大きく変わってくるので、見極めが重要です。

コスト

初期費用やランニングコストが低コストに抑えられるかといった部分も大事な要素です。ライセンス費用や初期導入費、メンテナンス費用などを考慮して決めましょう。ただし、コストを最も重要な要素としてしまうと、自社にとって使いやすい契約書管理システムを逃してしまう可能性が高まります。性能や機能面などコスト以外の要素を軽視してしまうからです。

コストに見合った効果が得られるか、業務効率が改善されるだろうかといった部分を忘れずに選定にあたってください。

おすすめの契約書管理システムを3つ紹介

NINJA SIGNクラウドサイン、リーテックスデジタル契約を紹介します。今回は触れませんが、国際的にはDocuSignというサービスも非常に人気です。

NINJA SIGN(ニンジャサイン)

NINJA SIGNはTrustloginなども運営するGMOグループが提供する、契約書の作成から締結までをクラウド上で完結できる契約書管理システムです。特徴は低コストで使いやすいサービスであることです。無料プランが用意されており、無料でもクラウド上で契約の締結までに必要な機能は揃っています。

また、1アカウント4,980円でタイムスタンプ機能や契約の有効期限管理機能が搭載され、契約書の送信数の制限も無くなります。テレワークとペーパーレス化を促進させるサービスも積極的に行っており、2020年7月~9月の間Lightプランと呼ばれる月額1ユーザー4,980円のプランを無償で利用できる取り組みも行っていました。ベンダーのサイトビジット社はユニークなキャンペーンを企画する企業でもあるので、期間限定のキャンペーンをうまく活用して操作性や機能の相性を確かめるのも1つの選択肢です。

クラウドサイン

電子契約を利用している約80%の企業がクラウドサインを利用しているとされる企業からの信頼が厚いサービスです。みずほ証券大和ハウスカルビーなど様々な業界の大手企業が導入をしています。

クラウドサインの特徴は、スピーディーに契約業務を締結できる点です。契約書の作成から締結までを全てクラウド上で行うだけでなく、操作性も簡潔にしています。

電子印などを用意する必要が無いので、契約業務にかける時間を大幅に短縮できます。また、安全性にも優れており、クラウドサインとのデータのやりとりは最高レベルの暗号技術で保護されているため、犯罪者からのデータ盗取を心配する必要もありません。

リーテックスデジタル契約

法学者と大手弁護士事務所が監修したセキュリティ性に優れたシステムです。特徴は情報保護に徹底的に配慮したシステムである点です。システムログイン時には二段階認証など毎回ワンタイムパスワードの入力を求め、文書に正当性や有効性を持たせるために電子署名やタイムスタンプを利用します。

厳重な本人認証は金融機関レベルの厳重さを誇り、犯罪者からの不正アクセスのリスクを大幅に軽減します。リーテックスデジタル契約を提供するリーテックス社は、横浜銀行西武信用金庫と業務提携を結んでおり、今後は金融機関への進出を強めることが予想されます。