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BPMとは?ITを活用して企業の業務プロセスを管理する方法を解説!

変化するビジネス環境に合わせて業務プロセスを改善する方法として、BPMが注目されています。BPMとは業務プロセスを管理するという考え方で、この考え方は以前からありますが最近のITの進化に伴い、簡単にBPMを実現できるようになりました。

とはいえBPMとなどのような考え方なのか、また、BPMを利用するために何をすればよいのか解らないという方もいるでしょう。今回はITを活用したBPMを使い、業務プロセスを管理する方法について解説します。

BPMとは

今回紹介するBPMとは、Business Process Managementの略で、企業における業務プロセスを管理するための方法です。

近年、ビジネスでも活用できる様々なクラウドサービスが提案されており、部門によって最適なサービスを活用する企業が増えています。そのため部門によっては従来の業務フローに新しい業務が増えて、複雑な事務処理が必要になっているのではないでしょうか。

しかし、これは企業全体として見れば良いではありません。業務フローを見直しが必要です。そこで注目されているのが業務の効率化を目的とするBPMです。

業務プロセスの最適化とは

そもそもBPMが対象とする業務プロセスとは、企業が利益を生み出すために行う連続した作業の流れのことです。ではそのような業務プロセスを最適化するとはどのようなことでしょうか。

例えば工場の業務を考えてみてください。まず出荷計画に基づいて原料が発注され、原料が納品されたらそれを使って製品を作ります。また製品を作る場合、上の工程から下の工程に製品が流れていくことで、最終的に製品を出荷することが可能です。

このような業務プロセスは工場の中に限れば、これまで様々な活動が行われてきました。しかし、ビジネスは工場の中だけで行われている訳ではありません。製品を販売して利益を生み出すまでの連続した作業です。そしてBPMでは、ビジネスに関わる業務プロセスの繋がりを扱います。

まずは業務プロセスを理解できるように

業務プロセスの見直しが必要、と言われても、自分の担当している作業のやり方は解るものの、それが業務全体のどの位置にあり、連続した業務の流れにどのように関わっているかを正確に理解して方は多くありません。ほとんどの方は、前の工程は誰が詳しいか、また、後の工程なら誰にお願いすればいい、といったことを知っているだけです。

まずは、作業の一連の流れをフロー図などで表現し、誰でも理解できるようにします。とはいえ、人によって業務のとらえ方が違っていると、誰でも理解できる図は作れません。そこで社員が漠然と理解して担当している業務を、図に描ける業務プロセスとして定義する作業が重要です。

BPMでは、モデリングという手順でフレームワークを利用して業務プロセスのモデル図を作成します。BPMを担当することになったら、このようなフレームワークの使い方を学んでください。

BPMに取り組む目的とは

業務の見直しを実施すると言われれば、リストラのようなネガティブな取り組みと受け取られたり、余計な業務が追加されると思われることもあります。BPMを導入するならその目的を明確にして、該当する部門から協力を得られるようにしましょう。

BPMを実施する目的とは、今ある経営上の課題を洗い出し、原因を調べて改善し、企業活用によって得られる利益を最大化することです。今の担当者個人の裁量に任されているやり方を、世界標準の業務プロセスのやり方と比較して見直しが必要なら対応してもらうことになります。

先ほど紹介したそのため誰でも理解できるフロー図と、納得してもらうための明確な目的が必要です。上から高圧的に強制するのではなく、最初は協力が得やすい業務で試しに導入し、その成果を基に社内のいろいろな業務に適用していく、といった取り組み方がうまくいくケースもあります。

BPMの対象と管理方法

先ほど紹介したようにBPMは企業における業務プロセスを管理するための方法です。管理するからには、管理対象となる業務プロセスとは何かを定義しなければなりません。さらに管理するには計画が必要です。さらに計画と現実とがどれだけずれているかを客観的に把握する手段も用意しましょう。

なおBPMを運用するために多くの企業では専用のソフトウェアを活用した管理手法を採用しています。このようなBPMを利用するために、管理対象となる業務プロセスをどう定義するか、また、計画と現実のずれを評価する方法を理解しなければなりません。

次からBPMを運用するうえで必要な、業務プロセスとは何か、またBPMで評価する方法について紹介します。

業務プロセスのモデル化

BPMでは、人同士の活動とも言える業務プロセスを管理可能なものにモデル化して扱います。そして事業そのものをモデル化することで、経営資源であるモノや情報などの流れを図式化でき、それによって経営資源選択と集中を実現することが可能です。

なお経営者が個々の社員の活動をチェックできる訳ではありません。事業に関わる社員の活動の結果として、売り上げ実績等の数字で評価します。しかし、それでは経営資源が有効に活用されて、売り上げの数字になったかが判断できません。

BPMによる業務プロセスのモデル化により、経営資源がどう活用されているかを見えるようでき、それによって経営者が有効な対策を実施することが可能です。

業務プロセスのモデル化とは

BPMでは、業務プロセスのモデル化に人が見ても理解しやすく、コンピュータでも処理しやすいビジネスプロセスモデリング表記法が使われます。

業務プロセスのモデル化で重要な点は、役割に応じてどのような作業を担当しているか、また、そのような担当している作業がどう接続しているかです。そして、作業の結果を判断し、その判断によって作業を差し戻す、といった流れが解るものでなければなりません。

BPMで業務プロセスを管理するために専用のソフトウェアを導入した場合、モデル化で使えるグラフィカルエディタが付属しているのでこれを利用します。

BPMの活動とはPDCAサイクルを回すこと

BPMでは、モデル化により業務プロセスの流れが解ったら、これを活用して事業を管理します。そして、BPMの管理に使われる仕組みがPDCAサイクルです。

BPMを導入して1回だけ改善を指示したとしても、それで効果があるとは限りません。計画に対してずれがあれば、そのずれの原因を評価し、計画を達成する別の改善に切り替えていくことを何度も繰り返す必要があります。そのような繰り返しに使われるのがPDCAサイクルです。

PDCAサイクルは工場のQCサークル活動などでもよく使われる改善活動の基本で、BPMでも使われます。もし、PDCAサイクルの使い方を知らない方は、そのやり方を学んで実践してください。

BPMの活動内容

先ほども紹介したようにBPMは業務プロセスの管理手法であり、1回やって終わりではありません。ビジネスを継続する限りBPMの活動を続けて、必要に応じて業務プロセスを見直しする方法です。

そしてBPMでは、「計画」「実行」「評価」「改善」を順に行い、最後の改善後、また「計画」以降の処理を繰り返す方法で業務プロセスを管理します。これは先ほど紹介したようにPDCAサイクルを回すことです。

次から、PDCAサイクルを使ったBPMの活動内容について説明します。

PDCAサイクルとは

先ほど紹介した「計画」「実行」「評価」「改善」とは、PDCAサイクルとして知られています。つまり、計画の英語のPlan、実行の英語のDo、評価の英語のCheck、改善を意味する英語のActionのそれぞれの頭文字がPDCAです。

なおPDCAサイクルは、1950年代に品質管理の考え方を広めたとされるデミングが提唱した方法です。そしてこの方法は、工場でのQCサークル活動で使われる品質管理の手法として使われてきました。PDCAサイクルを活用した工場の品質管理の例としてトヨタ生産方式が有名です。

さらにPDCAサイクルの考え方は、品質管理だけではなく環境マネジメント、情報セキュリティマネジメントなど他の分野にも応用されています。そしてPDCAサイクルは、今回紹介しているBPMでも使われる方法です。

PDCAサイクルの回し方

BPMでは、業務プロセスの課題を解決するためにPDCAサイクルを利用します。そしてPDCAサイクルの使い方は次の通りです。

Pにあたる計画で改善計画を立てます。続いてその計画に従って実行するのがDです。そしてCの評価で、計画どおりにやれたかをチェックします。最後にチェック結果を受けて実行するのがAの改善です。もし、評価の結果、計画通りにやれたら別の課題を探し、その課題に対してPDCAサイクルを回します。また、計画が間違っていたり、ずれている場合は計画を修正して同じ活動を続けます。

ただしBPMによる業務プロセスの改善では、現状評価と分析から始めるので、最初はPDCAサイクルの途中から始めるのが一般的です。また、同じ手順を何度も繰り返すことになるので、数字で評価できる指標を決めてから取り組んでください。

PDCAサイクルを使う場合のポイント

PDCAサイクルを使う場合、「評価」「改善」をどれだけやるかがポイントです。工場のQCサークル活動では、複数の担当者の視点で課題を把握し、それぞれの視点から原因を検討するためのツール利用が推奨されています。それによって1人の担当者では思いつかない真の原因を解決し、課題を解決することが可能です。

BPMPDCAサイクルを利用する場合も同じです。担当者1人では有効な改善案を作れないかもしれません。しかし、同じ仕事をしている複数の担当者がBPMで作成した業務フローを見直し、知恵を出し合えば、より効率的な業務フローを実現できます。

BPMツールとは

BPMツールとは、BPMを実現するために使われる専用のアプリケーションです。業務フローを作成するための専用エディタが付属しており、これを使って業務プロセスを可視化でき、フロー図の編集も容易です。また改善内容とその評価結果などの記入して保存できるなど、履歴管理も簡単にできます。

これまで説明したようにBPMは継続的に実施しなければ効果を得られません。そのため継続的に管理できるように、使い易いBPMツールが提案されています。ぜひ、BPMツールの利用を検討してください。

次からBPMツールの特徴やメリットを紹介します。

BPMツールの機能

BPMツールの機能として挙げられるのは、モデル化機能、シミュレーション機能、モニタリング機能の3つです。

まずモデル化機能については、BPMツールには業務フロー図を作成するための専用エディタが備わっており、それを用いることでBPMに必要な業務プロセスのモデル化が可能です。

また、シミュレーション機能とは、モデル化機能で作成したフロー図を入れ替えした場合の効果を計算で予測する機能です。そしてシミュレーション結果を用いて計画を作成し、実施に実施して評価する、といったPDCAサイクルを回すのに利用できます。

そしてモニタリング機能とは、実際に行われている業務プロセスを監視するための仕組みで、PDCAサイクルの評価で使える機能です。これらの機能を使いこなすことで、BPMを継続して業務を改善していけます。

BPMツールの導入メリット

BPMツールの導入メリットとして挙げられるのが、フロー図を描くエディタの使い易さと、改善内容とその評価結果などを誰が使っても同じフォーマットで保存できる点です。

BPMには多くの社員が関わります。しかし、関わった社員がそれぞれ勝手にフロー図や記録を作っていたのでは、業務プロセスの改善情報を共有できません。また、紙に書いて管理していたのでは、それを見られる社員が限定されてしまいます。

しかしBPMツールを使えば、BPMに関わる社員全員が同じ様式のフロー図を作成でき、誰が作成した記録にもアクセスできます。また、業務フローを入れ替えた場合の効果をシミュレーションすることも可能です。

BPMツールの導入の注意点

BPMツールは企業経営の改善で導入することから経営者向けのアプリケーションのように思われるかもしれません。しかし、実際に運用するのは業務部門の担当者です。担当者に使ってもらわなければ、導入効果が得られません。

またBPMツールの多くがアメリカなど外国で実績をあるやり方をベースに、ITで実現しやすい方法を用いて作られています。そのため、実際の業務の中で使うのは不便だったり、業務のやり方に合わない点があるかもしれません。そのため実際に導入する際には、業務部門の担当者にBPMツールのやり方に合わせてもらうこともあります。

そのため、トライアル期間を設けて、業務部門の担当者に使い方を慣れてもらってから導入するなど、協力を得られやすい導入方法を検討してください。

終わりに

日本の企業では、現場の担当者に業務プロセスのノウハウが蓄積されており、それぞれの知恵と工夫でうまく運用されているケースがあります。しかし、全ての業務でそのような担当者がいる訳ではありません。ITを活用して知恵と工夫を共有し、会社全体の業務プロセスを改善していくための仕組みがBPMであり、そのために運用するアプリケーションがBPMツールです。

これまで紹介したようにBPMは、1回だけで終わりではなく、PDCAサイクルを何度も回しながら業務プロセスを改善する方法です。ITを活用した便利なBPMツールを活用し、会社の利益に貢献できる業務プロセスに改善していきましょう。