情シスのかたち

powered by gin

監査とは?監査の流れや目的、種類まで分かりやすく解説します

会社がしっかり健全な事業を行っているかどうかを監査人が確認、報告する作業を監査と呼びます。

会社の責任者は一定の監査条件を満たして事業を行うことは、法律により義務付けられています。

今回は、監査の基本情報から流れ、必要性などについてご紹介していきます。

監査とは

監査は、会社がしっかり健全な事業を行い、経営状態に問題がないかを確認する経営者にとっても、社員にとっても重要な作業です。

監査人が監査を行い、万が一問題があると判断された場合は早急に経営体制を見直すことが求められ、問題が大きければ大きいほど、営業停止になる可能性もあるため、注意が必要です。

監査は経営状況だけではなく、各部署の業務実績などを確認し、社内の取り組み体制などの問題点を洗い出すことで、より良い経営を行うことができるようになります。

なんで監査を受けなければいけない?

監査は特に大企業を中心に行われ、企業の経営状態を株主やその企業に投資している人達に対して明確に情報を提示する必要があるため、監査は行わなければいけません。

特に、株式会社であれば、株式を発行し、投資家たちから投資してもらうことで、事業をするうえで必要な資金を調達することができます。

しかし、投資家からしてみても、健全で経営状況が良い企業にしか投資はしたくない傾向にあり、企業に投資する人に対して「この会社は経営状況が良い」ということを保証しなければいけません。

監査の種類

監査には大きく分けて「外部監査」「会計監査」「業務監査」の3つの監査があります。

外部監査

外部監査は企業に投資している投資家たちなどの会社の外部関係者に役に立つ情報を提示することを指し、主に大企業に対して「金融商品取引法」や「会社法」に基づいて監査を行います。

会計監査

会計調査は監査の中でも最も代表的な監査で、監査法人公認会計士が企業が会計基準に沿って会計処理を行っているかどうかを確認します。

会社法が適用されるのは資本金が5億円以上または負債200億円以上の会社のため、一般的な中小企業では会計監査が行われることはほとんどないと言えるでしょう。

業務監査

業務調査は、企業の業務がしっかり規定に従っているかどうかを確認します。

万が一会社の規定に反した業務が確認された場合は指摘された業務を行っている部署が改善報告書を会社の社長宛に提出しなければいけません。

システム監査など、その他の監査

その他にも内部監査やシステム監査、情報セキュリティ監査などもあります。

内部監査とは、簡単に説明すると「内部監査人や部署による社内の業務監査」を指し、システム監査はシステムが信頼できる状態を維持できていて統制が取れているのか、そのシステムが経営に役立っているのかなどを監査します。

情報セキュリティ監査は第三者によって、会社の情報資産を守るための対策が正しく行われているかどうかをチェックします。主にIT統制が機能しているかを幅広く見られます。J-SOX法に定められるIT統制よりも広域です。

外部監査の流れ

ここからは、外部監査の流れについてご紹介していきます。

外部監査は以下のような流れで行います。

  • 監査契約
  • 監査計画
  • 期中監査
  • 実査
  • 期末監査

それでは、外部監査の流れを確認していきましょう。

監査契約

監査を行う場合は、まずは外部監査人と契約を結ぶ必要があります。

自分で監査人を探すか、直接監査法人に問い合わせをすることで、監査人と契約することができます。

前任の監査人とは違う監査人と契約する場合は、引継ぎができるかどうかも契約を結ぶ際の確認事項の一つとなりますので、注意が必要です。

また、監査人も依頼されたら全ての監査を実施するわけでもなく、会社の対応が悪かったり、不正を隠していた過去がある会社などでは、検査契約をしてくれないこともあります。

ただし、監査を行う場合は監査人と契約することが大前提となりますので、監査契約は避けられません。

監査計画

監査人と監査契約を結びましたら、続いて契約した監査人と監査契約を行います。

監査計画では監査人や会社の担当者が情報や計画を共有し、監査を十分に行える状態かどうかを確認し、協議します。

期中監査

監査計画が終了しましたら、続いて期中監査に移ります。

期中監査では、監査人から依頼された「試算表」「仕訳票」「固定資産台帳」などの監査に必要な書類を用意し、監査人に提出します。

ちなみに期中監査は数回に分けて監査を行われすため、常日頃から必要な書類をすぐに提出できるようしておくことが大切です。

請求される資料は異なりますが、主に「請求書」「見積書」「稟議書」「取締役会議事録」などが請求されます。

実査

期中監査が終了しましたら、続いて実査に移ります。

実査は監査人が現金や小切手、有価証券などがあるかどうかを確認します。

実査は基本的に数日に分けて行われることが多く、会社の現金の金額などが1円でも相違がある場合は、管理体制が整っていないと判断されることもあるため、必ずあらかじめ確認するようにしてください。

期末監査

実査が終了しましたら、最後に期末監査を実施します。

期末監査は監査をした監査人が実査に確認した内容が正しいかどうかを最終確認する意味を指します。

期末監査も実査と同様に数日に分けて行われることが多く、時間がかかるため、あらかじめ監査に必要な書類は準備しておくと良いでしょう。

監査が義務付けられている企業

監査が義務付けられている企業は以下のような企業です。

大企業

会社法の328条では、以下の条件を満たす会社が大企業と定義されています。

  • 最終事業年度に係る貸借対照表の資本金が5億円以上である
  • 最終事業年度に係る貸借対照表において、負債の部の合計額が200億円以上である

これらに当てはまる企業は大企業として定義されるため、監査が義務付けられています。

監査等委員会設置会社

監査等委員会設置会社は会計監査人による監査が義務付けられています。

監査等委員会設置会社での監査人は会社の取締役の立場となり、監査の内容は大企業と同じような監査内容となります。

会計監査人の任意設置がある会社

会計監査人の任意措置がある会社は会計監査人設置をやめるまでは監査が義務付けられています。

内部監査で評価されるポイント

内部監査で評価されるポイントは以下になります。

  • リスク回避
  • 経営のコントロール体制
  • 統治体制

それぞれ詳しくご紹介していきます。

リスク回避

内部監査が行われる際は、会社全体でそのリスクとなる項目を洗い出し、あらかじめリスク回避しておくことが重要です。また、リスク回避をするための解決方法が最善かどうかも評価対象となりますので、ろくに経営目線で資産管理が十分かどうかを常に確認しておくと良いでしょう。昨今はITの活用が進んでいるので、クラウドサービス等も活用している場合はIT資産管理にも気をつける事が必要です。

経営のコントロール体制

内部監査では、会社の経営のコントロール体制も評価対象の一つです。

特に会社で定められている経営方針と業務目標が一致しているかどうか、合理的かどうかが評価対象となるため、あらかじめ目標を達成することができているか、目標を達成するための業務は最善かどうかを確認しておくと良いでしょう。

統治体制

統治体制は簡単に説明すると、各部署ごとに社員のモチベーション、会社で定められている規約などの情報共有を指し、情報共有は適切かどうかも内部監査における評価対象となります。

監査はどの企業でも入る可能性がある?

これまで紹介した監査は基本的に大企業などで行われることが多いですが、監査はどの企業でも入る可能性があります。

その理由が「労働基準監督署の監査」です。

労働基準法の監査は先ほど紹介した監査の内容とは異なり、どの企業でも監査対象となりますので、ご紹介していきます。

労働基準監督署の監査が入る理由

労働基準監督署の監査が入る理由は以下3点です。

申告監査

申告監査は、会社に勤めている社員などから「給与が支払われない」などの申告があった場合や、不当な解雇をされてしまった場合に直接労働基準監督署に申告された場合に行う監査です。

申告監査は基本的に申告がなければ監査が行われることはありません。

災害監査

災害監査は、会社の社員から災害による労災を申請があった時に内容確認のために監査が入る場合があります。

定期監査

定期監査は、その名前の通り、労働基準監督署が定期的に行う監査を指し、毎年一定数の会社が対象になり、監査が入ります。

労働基準監督署の監査で違反が見つかった場合

労働基準監督署の監査で万が一労働基準法の違反が見つかった場合は、重大なコンプライアンス違反となり最悪の場合会社が営業停止になってしまいます。

この場合は会社にとってかなりの負担となりますので、当たり前ですが、労働基準法に違反しないように常に意識して業務を遂行することが重要です。

また、労働基準監督署の監査は深刻監査などとは異なり、完全抜き打ちで監査に入る場合もあります。

監査が入ってしまってからではもう遅いですが、監査が入ってもいように、「労働者名簿」「賃金台帳」「タイムカードと出勤表」「労働者雇用に関する書類」などはすぐに提出できるように整理整頓しておくことをおすすめします。

日本の四大監査法人

ここからは、日本の4大監査法人をご紹介していきます。

有限責任あずさ監査法人

有限責任あずさ監査法人は全国主要都市に約6,000人の人員がおり、監査や保証業務などを提供しています。

また監査以外にも経営層向けの「IFRSアドバイザリー」「アカウンティングアドバイザリー」「金融機関向けアドバイザリー」「ITアドバイザリー」「株式上場アドバイザリー」なども行っています。

EY新日本有限責任監査法人

EY新日本有限責任監査法人は監査及び保証業務を中心に行っており、「EYのアライアンス」「EYのクライアント」「インダストリー」などを提供している会社です。

有限責任監査法人トーマツ

有限責任監査法人トーマツは監査・保証業務のほかにも、「リスクアドバイザリー」「ファイナンシャルアドバイザリー」「コンサルティング」などを提供しています。

PwCあらた有限責任監査法人

PwCあらた有限責任監査法人は世界最大級の会計事務所であるPwCの手法と実務を提供し、卓越したプロフェッショナルサービスとしての監査を提供していることが特徴です。

監査等委員会設置会社に移行するメリット

監査等委員会設置会社に移行するメリットは以下になります。

  • 役員の数を抑えられる
  • 監督強化につながる
  • 外国人投資家を増やせる
  • 常勤監査役の設置義務がない
  • 規模の小さい企業でも意向できる

それぞれ確認していきましょう。

役員の数を抑えられる

監査等委員会設置会社に移行することで、社外監査役の選任をせずに済むため、その分役員の数を抑えられるというメリットがあります。

監督強化につながる

監査等委員会設置会社に移行することで、取締役会などで議決権を持つことができます。

そのため、会社の経営判断などにおいて直接影響をもたらすであろう判断を適切な道に導くことができます。

外国人投資家を増やせる

監査等委員会設置会社に移行することで、外国人投資家を増やすことができます。

投資できるのは日本人だけではなく外国人も日本の会社に投資することができます。

さらに、日本よりも外国人の方が投資をしている人が多く、その分投資にも期待がきます。

また、監査等委員会設置会社に移行は外国人にとっても馴染みやすいガバナンスとなっていますので、多くの外国人投資家からの投資を促進できます。

常勤監査役の設置義務がない

監査等委員会設置会社に移行することで、常勤監査役の設置義務がなくなるというメリットがあります。

規模の小さい企業でも意向できる

監査等委員会設置会社への移行は規模の小さい企業でも意向できます。

特に、常勤監査役などを設置する場合はその分コストがかかってしまい、経営に大きくダメジをもたらす可能性も高くなりますが、監査等委員会設置会社への移行をすることによってコストを削減することも可能です。

まとめ

今回は監査の基本情報から流れ、必要性などについて詳しくご紹介してきました。

監査は会社のお金や常日頃の業務を見直すために重要です。

監査が義務付けられている会社が監査を怠ることは法律違反となり、会社の信用性も失ってしまうこともあります。

そのため、監査が義務付けられている会社は必ず来る監査に備えて、監査ではどのようなポイントが評価対象になるのか、事前にチェックすべき点はどこか、どのような流れで監査が行われるかなどをしっかり把握しておく必要があります。

会社の経営者にとっては監査は非常に重く、頭を悩ませるような問題かもしれませんが、監査をクリアすることで、会社の信頼度を上げて業績アップも見込めますので、内容を把握して、しっかり適切な対応を取ることが重要です。

監査人がいない場合は、まずは監査人を探すところから始めて、監査に必要である書類などをあらかじめ整理整頓しておきましょう!