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テレワークをリモートデスクトップで実現!メリットやオススメを紹介

今ではテレワークが多くの企業に導入されており、すっかり新しい働き方として日本社会に定着しています。柔軟な働き方が普及していくことで、それに伴うシステムの整備の必要性も高まっています。

テレワークをリモートデスクトップ方式で実施

テレワークの導入によりシステム整備を行った企業は多いと思います。テレワークにはいくつかの方法があり、どれを選ぶかで会社のとるべき対策が異なります。今回はリモートデスクトップ方式と言うやり方についてお話し致します。リモートデスクトップ方式とは普段オフィスで使うデスクトップPCの環境をテレワークの場所でもそのまま利用できる手法です。具体的にはテレワークで利用するPCからオフィスのデスクトップを遠隔で操作します。これによりオフィスと同様の業務が社外からでも可能となります。

このメリットとしては以下の点が挙げられます。

リモートデスクトップ方式のメリット

テレワーク時に保存したファイルは個人の端末には残らない

  企業にとって機密情報流出の危険性が最大の懸念事項です。手元のPCにデータを残さないことでこの危険性に対応しています。

導入コストが抑えられる

専用アプリのインストールや認証キーの用意で簡単にスタート可能です。導入にあたり面倒な手間が省けます。

次に具体的なリモートデスクトップの利用の仕方について見ていきます。

テレワークで無料のリモートデスクトップを使う

リモートデスクトップ方式のテレワークではソフトのインストールにより導入コストを抑えられることを説明しました。では、どのようなソフトをインストールするのが望ましいのでしょうか?デスクトップのソフトには無料のサービスも存在します。自社での利便性を確認するにはまず無料ソフトを試すことをお勧めします。以下のような無料のリモートデスクトップソフトがあります。

また、無料ソフトを提供する会社の中には有料版のサービスを提供する会社もあります。有料ソフトはより充実したサービスを受けられるため、まず無料ソフトで作業性を確認し、有料ソフトに移行するという利用方法もお勧め致します。下記1つずつ紹介致します。

無料のリモートデスクトップ用ソフト

Team Viewer(無料版)PC だけでなくスマホタブレットでも対応可能です。高いセキュリティ性も備えており、安心して利用できます。
Any Deskインストールが不要なソフトです。操作性も非常に簡単で扱いやすいツールであることに加え、タイムラグの少なさがこのソフトの最大の特徴です。
ChromeリモートデスクトップGoogleアカウントでの利用となります。リモート接続するPCにはGoogle Chromeをインストールすることで利用可能となります。スマートフォンもアプリインストールにより利用可能となります。

次は、お勧めの有料ソフトについて解説致します。

テレワークでリモートデスクトップを使う際のおすすめ

ここではオススメのリモートデスクトップソフト(有料版)をご紹介します。上記の通り無料ソフトもありますが、仕事での作業性を考えると有料ソフトでの利用をお勧め致します。以下1つずつ解説致します。

Splashtop企業向けのリモートデスクトップソフトです。様々な端末での操作に対応しており、Windows, macOSは勿論、iPad/iPhoneAndroidにも対応しています。また、データ処理が高速なため、オフィスとほぼ同等の作業効率を実現できます。信頼性の高いクラウドサーバーを利用してるため、世界中のどこからでもアクセス可能です。リモートデスクトップの代表的なソフトです。
Team Viewer(有料版)この特徴はデバイス間の互換性です。macOSWindowsChrome OSLinuxなどのプラットフォームに対応しています。また暗号化されたデータ転送でセキュリティーを保護します。リモートコントロールしているデスクトップ画面を黒画面のみの表示とするなどプライバシーへの配慮もしています。
RadminWindows用のリモートデスクトップソフトです。Windowsは標準装備としてリモートデスクトップの機能は備えていますが、データ通信は暗号化されておらず、セキュリティには不安があります。このソフトを利用するとアップデートのスピードが迅速になり、またデータ転送の暗号化にも対応しています。セキュリティを保全します。
Remote Utilities安全な接続ができることにより、どこからでも接続が可能となります。また、二段階認証にも対応しています。

テレワークで使うリモートデスクトップを比較

リモートデスクトップのソフトを比較しました。利用料金や注意事項は下記表をご参照ください。

初期費用ライセンス料金(税込)特徴
Splashtop Business無し16,500円/年リモート接続台数5台/ユーザー
TeamViewer コーポレート無し228,000円/年接続先無制限、最大200ユーザー
Radmin無し131,120円/年50台のリモートPCまで利用可能
Remote Utilities無しUSD 29/リモートコンピューター価格は一度限りの支払。月額ではない

テレワークでリモートデスクトップを使って遅い場合

リモートデスクトップを利用していて起こる問題としてデータ通信が重くなるケースがあります。具体的な現象としては画面がフリーズしたり、反応が遅れるといった現象です。通信が集中してこの現象は起きているわけですが、これにはいくつかの要素が影響与えています。この問題に対処するには情報を軽くするか、通信環境を改善する必要があります。次では通信が重くなる原因と対処方法についてご説明致します。

テレワークにおけるリモートデスクトップの通信量

このリモートコントロールはどのようにして可能になるかと言うと、手元のパソコンからの情報を画像情報としてデスクトップのパソコンに情報を送信しています。従い、データ量が膨大になります。そのため情報が重くなり通信中に画面がフリーズしたり反応が遅れる現象が発生します。通信速度を上げるためにはいくつか工夫をする必要があります。

まず、通信環境です。テレワーク時であればWIFIを利用しているケースも多いと思います。例えば、リモートPCをWIFIで接続しているのであれば、有線での接続に切り替えましょう。特にリモートPCを複数台Wi-Fiで接続している場合などはどれか一つでも有線に切り替えましょう。これにより通信速度が上がります。残念ながらWIFI接続は有線ほど通信量が多くありません。

次に、画質を下げてデータ量を減らす必要があります。リモートコントロールの際は使用中のPCから画像を会社のデスクトップに送る旨は説明しました。PCの設定を変えることでこの画質を下げ、データ自体を軽量化し動作を向上させます。

画質を下げる方法としてはPCの設定を変更する必要があります。具体的には以下の3つの方法があります。特に3)のエクスペリエンスの設定はやや複雑なので注意して行ってください。接続品質の自動検出画面の下にある「ビットマップのキャッシュ保持」についてはチェックを外さないよう注意してください。これを外すと通信量は逆に増えてしまいます。

画質を下げてリモートデスクトップの通信を改善する方法

  1. 画面の色:32ビット→15ビット
  2. ローカルデバイスとリソース:クリップボードのチェックを外す
  3. 画質・操作性の選択:
操作方法

<スタート> → <Wiondowsアクセサリ>→<リモートデスクトップ接続>→<オプションの表示>→<エクスペリエンス>→<パフォーマンス>→<LAN(10Mbps以上)>

以下の項目のチェックをできる限り外す
  • デスクトップの背景
  • ドラッグ中にウィンドウの内容表示
  • メニューとウィンドウアニメーション
  • 視覚スタイル
  • フォントスムージングだけはチェックを残すよう注意

テレワークにはリモートデスクトップよりもVPNのほうがいい?

リモートデスクトップとは別のテレワークの手法としてVPN接続があります。これは仮想の通信回線の中で暗号化されたデータをやり取りすることで安全性の高い情報交換が可能となる方法です。社内ネットワークと社外環境を仮想の通信回線でつなぎます。現在、社内ネットワークでの安全性を確保するため多くの企業で導入されています。VPNの魅力は何といっても通信の安全性です。では、リモートデスクトップが通信量の問題で制限がかかるのであれば、VPNの利用で問題は解決するのでしょうか?

残念ながら結論としてはあまり変わりません。テレワークにおいてVPN接続は非常に混雑します。これは同じ組織の中で何人も同じ回線を利用するためです。その結果、通信量が多くなります。これは利用者が多いことと、データを暗号化するためにパケット通信量が増えてしまうためです。そのため通信速度は遅くなります。今回のコロナ騒動で多くの企業が急激にテレワークに舵を切りました。その際、多くの企業がVPN接続を選択しましたが、同じ時間帯に大量のアクセスがネットワークに集中しました。

その結果、回線が混み合い勤務時間中にはネット回線の利用ができなかったと言う現象は多くの企業で見られています。一時的には勤務時間をずらし、ネット回線へのアクセス集中を回避する手法をとる企業もいますが、本質的な解決にはなりません。現在、多くの企業でこの問題への対応を迫られています。このようにリモートデスクトップでもVPNでも通信速度の遅さを根本的には解決できません。また、どちらも導入する上でコストがかかります。従い、どちらも正直あまりオススメできません。ここで出てくるのが多要素認証という考え方です。これはゼロトラストと言うセキュリティの考え方に基づきます。

これまでのセキュリティの考え方が、社内は安全、社外は危険という考えに基づき、社内を徹底的に守る方法でした。VPNはその安全な社内に外からネットワークを通す仕組みです。しかし、このやり方は従業員の大多数が社内で働く環境だったからこそこれまで機能していました。今のように多くの人が社外環境で働く中で理想的なセキュリティとは言えません。

一方、ゼロトラストの考え方では組織の内外を区別しません。社内外どこからのアクセスであっても信用せず全てを都度確認します。ID、パスワードだけでなく、機器認証や生体認証を使い本人確認を行います。こうすることで安全性を確保できるため、VPNリモートデスクトップのコストを浮かせられます。

テレワークには仮想デスクトップよりリモートデスクトップのほうがいい?

また別のテレワークの方法として「仮想デスクトップ」と言う方法があります。サーバー上に仮想のデスクトップを用意しユーザーがオフィスでデスクトップを使用する感覚で使用できると言うものです。専用のソフトをインストールする必要があります。リモートデスクトップが実際のデスクトップPCを遠隔から操作することに対してこちらは仮想空間(サーバー上)にデスクトップ用意すると言う点が両者の違いです。

このメリットはユーザごとに個別の仮想デスクトップを用意できる点です。その反面サーバー上のデータを全ユーザが共有する形になっているリモートデスクトップと異なり、ストレージなどのコストは高くつきます。ただその分カスタマイズ性には優れています。また、電子データはテレワークの端末には残りません。

どちらの手法が良いかは一概には言えません。それぞれの手法は役割が異なるため想定される利用環境が異なるからです。ユーザ一人一人が設定の変更やカスタマイズが必要で、個別にデスクトップを用意したい場合は仮想デスクトップを選ぶケースが多くなります。一方、使用環境はある程度一定でカスタマイズの必要がなく、通信費用を抑えたい場合はリモートデスクトップ使用するというのが一般的です。

これら2つのやり方は利用者の特性によって必要なものが変わってきます。一方で会社でテレワークを実施する際、多くの従業員を対象にテレワーク環境を整えなければなりません。その際に、ユーザーの利用状況に応じて管理ツールを分けることは現実的ではありません。管理者側に膨大な手間やコストがかかるためです。先程紹介したゼロトラストの考えに基づき、クラウド型のリモートアクセスツールを使い、多要素認証で社内システムに入る機器を認証していくと言う方法が現実的と考えます。多くのテレワーク状況を一元管理するのあればこれが現実的と考えられます。

テレワーク時のリモートデスクトップにセキュリティの課題がある

リモートデスクトップのセキュリティ上の課題としてはインターネット接続時の安全性が挙げられます。インターネットから直接接続するような場合においてはIDパスワードでの認証しか行いません。パスワードは所詮文字の組み合わせですから、この程度のセキュリティだといつか破られてしまいます。対策としてはVPN接続や多要素認証があります。ただ、VPN接続にはコストもかかります。

セキュリティの危険性は何もインターネット上の環境だけではありません。リモートデスクトップの場合、社外環境からノートPCなどの機器を使います。働く場所は自宅に限らずカフェや公共の場で行うことも想定されます。この機器(PC、スマートフォン)が盗難などの被害に遭い、機密情報が流失するリスクも存在します。

もちろんリモートデスクトップの場合は端末に情報が残りませんので、機器から情報が流失することはありません。しかし、盗まれた端末を通して社内システムにアクセスされる可能性はあります。こういったリスクに備えて社内システムへのアクセスは限定された機器だけができる(機器認証)ようにする必要があります。機器の管理には細心の注意を払わなければいけませんが、システムへのアクセスを限定的にすればたとえ端末を盗まれたとしても対処可能です。

 

いかがでしたでしょうか? 本日は以上となります。テレワークのやり方には様々なアプローチがあります。それにメリット・デメリットがあり、かかるコストも異なります。私せっかく導入したのに通信速度が遅かったり、セキュリティに問題を抱えた状態では安心して働けません。皆さんそれぞれの働き方に応じた導入の仕方、利用の仕方を検討してみてください。